秋田県では10人にひとりの子どもが朝ごはんを食べられていない

クラスに朝ごはんを食べてこない子どもが4人いる
令和5年秋田県教育庁の調査(※1)によると、「学校に行く日の朝食の摂食状況」を聞いたアンケートで、「毎日食べる」と答えた小学4年生男子児童は84%。16%が朝ごはんを毎日は食べていないと回答しています。
25人クラスのうち実に4人が何も食べないまま午前中の授業に臨んでいるということになるのです。
朝食欠食の子どもは増えている
また、現在秋田県が実施している第4期秋田県食育推進計画(※2)には『朝食を毎日食べる割合(%)』の【現状】と【目標】を以下のように示しています。
小学5・6年生 現状88.9 %[R1]目標92.0%[R7]
同じ調査ではないので正確に比較はできませんが、令和元年度よりも令和5年度のほうが朝食欠食している子どもが増えていることが推察できます。県は令和7年度の目標値を92%としていますがこのままでは、目標達成は難しいと言わざるを得ません。
県は“高い割合を維持している”と評価
さらに同じ資料の中で、県は「家庭での共食の状況や朝食の摂取率などは、高い割合を維持しているが、高齢単身世帯などに向けては、地域での共食の機会の提供が必要」としており、現状の朝食摂取率に一定の評価をしたうえ、子どもへのさらなる支援には言及もしていません。
今年わたしたちは秋田県と秋田市が関わる2つの助成金に応募をしました。朝食喫食率を上げるためには、親に頼らず子どもが自分で朝食を準備する力を養うこと、経済的な理由などによりそれもままならない子どもには直接朝食を振る舞うことを目的にした事業の提案でした。しかし結果は不採択。理由は、「子どもが自分で料理ができるようになるとヤングケアーが増える。子どもの食事を準備するのは親の役目。子どもではなく親への啓発をすべき」「朝ごはんを食べてこない子が家以外の場所で食べていれば差別といじめの原因になる」というものでした。

あきらめずに生きていてほしいから。すべての子どもに朝食を。
わたしたちはこの不採択理由に大いに落胆しました。あなたは親から「うちは朝ごはんを食べない家だからあなたも食べないのよ」と言われて空腹を我慢できますか?「恥ずかしいから朝ごはんを食べちゃダメ」と言われて納得できるでしょうか?行政のこの判断は、子どもの食事が完全に親(または大人)に支配されていて、子どもに摂食の自己決定権はないのだと言っているようなものです。しかし、わたしたちは、食事の確保は人間の当然の権利であり、ほとんどの人が食べられているからそれでいいという問題ではなく、お腹が空いている人は等しく食事を与えられるべきだと考えています。
今年10月、文部科学省は昨年度(令和5年度)の小中学校の不登校児・生徒が過去最多の34万人余りになったと発表しました。学校生活に対してやる気が出ない、不安抑うつ、生活リズムの不調など理由は様々ですが、【朝ごはんを食べる生活】というのがその解決の一つ必ずなりうるとわたしたちは考えています。
お腹を満たすことは心を満たすことです。朝一番に温かい食事をお腹に入れることで勉強や運動を頑張れるようになり、できることが増えていくことで自分を認めていけるようにもなるでしょう。どんな境遇で育っても、親は選べなくても、あなたにはあきらめずに生きていてほしい。すべての子どもに朝食を届けられる活動が今こそ必要です。